味の歳時記

(いっそ、雪でも降ってくれたほうが、心も晴れるのに)

ある詩人の一葉です:

霜月、霜が降りる頃、まさに初霜の季節からこう呼ばれています。

時折降る時雨と、風の流れも変わり、山里では落葉黄洛、紅く染まる樣は人びとに 物思いの限りをつくさせる時でもあります。

 

紅葉狩 奈良時代より行われていたようで、万葉集にも登場する行事だったようです。

平安の頃には、貴族の間で、紅葉を愛でながら宴を開き また、その様子は源氏物語にも描かれています。その後、庶民の間にも広まり、春の花見とは対象的に 季節の年中行事と共に定着したそうですね。

 

この季節になると 観たくなる映画の中に [バベットの晩餐]と言う作品があるのですが、とても好きな映画の一つです。

1987年のデンマークの作品で、アカデミー外国映画優秀作品賞も取りました。

 

時は1871年、フランス プロレタリア革命で、夫と子供を殺され 自分まで危険な目に合い、命からがら、紹介者の手紙を胸にデンマークの田舎の静かな村にたどり着きます。

その家は、亡くなった大変信仰深い牧師の家でした。

その家で主人公の女性〈フランス パリで有名なレストランの料理人でした。)その腕は、(食事を恋愛に変える事のできる料理人)と呼ばれるほどでした 

その栄光と、また悲しい過去を隠し、10年もの間 この女性はその牧師の家でお料理の世話や家事の御手伝いとして生活したのです。

霜月 味の歳時記   馳走 「菊水庵」  BY 「料亭 菊水」 

ある日、この女性は、富くじ1万フランもの大金に当たりました。

丁度その年は牧師の生誕記念日もあり、この女性はそのお金でそして、この私に晩餐の料理を取りまかせて欲しいと牧師の家族に願い出るのです。

初めて見る素敵な、そして豪華な料理の数々 招かれた村の牧師を慕う住人達も、質素な知足な生活を信条と、最初は固くなでしたが、徐々に、その心は解きほぐされ、そしていがみ合う隣人同士の優しさと許しを引き出し それは最高の晩餐の名にふさわしい一夜となるのです

 

食事が終わった後、家族はその女性に お礼をします。

そして(お金もできた事ですから、フランスに帰ってしまうのね。寂しくなるわね )と 

すると女性は(いいえ、帰る場所もありません、そしてお金も残っていないのです )と(あの1万フラン は全て使いました、私はフランス パリの一流レストラン アングレの料理長で、今夜招いた12人分が1万フランなのです。

驚く家族は、せっかくのお金を (また、貧しくなってしまうわ ごめんなさい

誇り、尊厳、慈しみ、優しさ、料理人としての 命と魂を燃焼させ、芸術家の心の叫びを表現したいとの思い。

最後に私の好きな、この料理人の言葉。

     

                                     (貧しい心の芸術家はいません

 

きっと、そうなのでしょ うね、なるべく、そこに近づくように、至らなくとも心を運び、一枝の子守り柿 紅いその葉  月の満ち欠けにも、耳を 心を傾ける  そのように、庖丁をとることができれば、幸せです。

霜月    色とりどりの素材を 身のしまった海の幸を 奇をてらわず、ほっこりはんなり、お迎えします。  

(ちょっとばかし 腕が上がると、下手に材料をいじくりだしちまう。茄子び 一個もそだてたこたあねえくせに、ちったあ、作った人の苦労を考えて献立をたてな! )と拳骨を思い出します。

                              

                                       馳走    菊水庵     秋のお献立にて、お待ちしています。